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1982年に公開されたSF映画「ブレードランナー」で描かれた2019年のロサンゼルスの街並みは、どこかアジアを思い起こす猥雑で混沌とした風景で、ネオンや看板には漢字やひらがな、カタカナが目立ち、ビルに設置された巨大スクリーンには日本人と思われる着物を着た女性が映し出され、何故か「強力わかもと」の文字が現れます。「2つで十分ですよ」という、これも日本人と思われる出演者の日本語の台詞もあります。
タイレル社によって、人間そっくりに開発されたレプリカント(人造人間)は体力、敏しょう性に優れ、製造した遺伝子技術者に匹敵する知能を持ち、宇宙での過酷な労働に従事させられていました。本来は、感情を持たないはずの彼らは製造後数年で感情を示す事がわかったので、安全策として4年の寿命が施されました。
しかし反乱を起こしたレプリカントが、地球に潜入するようになった為、特別捜査班「ブレードランナー」に、それらを処分するよう指示が出されます。
人間とレプリカントとの境界線が近付き曖昧となってしまい、レプリカントの方がより人間らしい感情を持っていると思わせる行動を取る描写などもあり、人間とは何か?という哲学的な要素も含んだ、リドリー・スコット監督のこの作品は、1982年の時点で、すでに現在からこの先の未来において飛躍的に進歩するであろうAI・人工知能に関しての負の側面を予言しているかのようです。
このオリジナル「ブレードランナー」では、恋愛関係となった、ハリソン・フォード演じるブレードランナー「デッカード」と女性レプリカント「レイチェル」が逃避行するシーンで幕を閉じます。
あれから35年・・・・・。
ついに、続編「ブレードランナー 2049」が公開となりました。
2019年から30年後の2049年の世界が描かれた今作は、ライアン・ゴズリング演じる新たなブレードランナー「K」を中心に展開します。もちろんハリソン・フォード演じる「デッカード」も登場し、謎であった「レイチェル」とのその後も描かれます。
タイレル社に代わる新たなレプリカント製造会社のトップ「ネアンデル・ウオレス」役には当初、デヴィッド・ボウイが演じる予定だったようですが、惜しくも2016年に亡くなってしまった為、「スーサイド・スクワット」でジョーカーを演じたジャレット・レトが起用されたそうです。ジャレット・レトも良かったですが、デヴィッド・ボウイのイメージは、この映画の雰囲気にピッタリなので、デヴィッド・ボウイの演技を見たかったです。
今回リドリー・スコットは、製作総指揮となり、監督はドゥニ・ヴィルヌーヴとなりましたが、オリジナルの世界観を見事に継承しており、見ごたえのある作品になっています。
「デッカード」とレプリカントである為に短命な 「レイチェル」、「K」とアナ・デ・アルマス演じるホログラフィーである恋人「ジョイ」。
2組の切ないラブストーリーも描かれており、心を打たれます。
デートにも、お勧めの映画です。