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ドライバー目線のスリップストリームからの追い抜き、ホイール・トゥ・ホイールの接近戦、コーナーでの横Gに耐える表情。車両に取り付けた360度回転するという複数の小型カメラによる映像は、F1のテレビ中継などでは見ることのできないまるで自らがF1マシーンをドライブしているかのような臨場感溢れるアングル。トップガン・マーヴェリックのスタッフ達により撮影されたという数々のレースシーンにおける迫力ある映像にプラスして、主人公を中心とした登場人物たちの人間ドラマもしっかりと描かれており、若き日に果たせなかった夢を実現させるために再チャレンジする主人公ソニー・ヘイズの生き様を、ブラッド・ピットがユーモアを交えた哀愁漂う演技で魅せます。
デイトナ24時間レースでブラッド・ピット演じるソニー・ヘイズがポルシェ911GT3Rで、前を走るBMWM4GT3をぶち抜くシーンで幕を開ける今作。
いきなりアドレナリンの分泌が爆上がり!
ソニー・ヘイズは、モータースポーツの頂点「F1グランプリ」で黄色いキャメルカラーのロータスをドライブし、赤白に塗られたマルボロカラーのマクラーレンに乗るアイルトン・セナとも戦った世界が注目する期待の新星でしたが、ある出来事がきっかけで無冠のままF1ドライバーを引退。
引退から30年後の現在。
車中泊しながら各地で開催される様々なレースにスポット参戦する日々を過ごすソニー・ヘイズは今季9戦を終え未だ0ポイントの最弱F1チーム「エイペックス」の代表でありかつてのチームメイトであったハビエル・バルデム演じるルーベン・サバンテスからの誘いを受け現役復帰を果たすことに。
ベテランならではのドライビングテクニックと常識破りでアグレッシブなグレーゾーンともとれるレース運びをするソニーに困惑し衝突するチームメイトの若きルーキー ジョシュアやチームスタッフ達。ストーリー中盤にソニーと恋に落ちることとなるテクニカルディレクター ケイトからは「昔気質で無謀なドライバー、指示を無視して好き勝手に行動する」と言われる始末。しかし誰よりもレースの過酷さを知るソニーの勝利への情熱はやがて周囲を変え最弱のチームを導きチーム一丸となり頂点を目指すこととなるのです。
ルイス・ハミルトン、シャルル・ルクレール、マックス・フェルスタッペン、フェルナンド・アロンソ、角田裕毅といった現役F1ドライバーやフェラーリF1チーム代表フレデリック・バスールなどが出演しており、更にはアイルトン・セナ、アラン・プロスト、ミハエル・シューマッハ、ナイジェル・マンセルなど往年のF1ドライバー達の名が台詞に登場し昭和生まれのオジサンは思わずニンマリ。
クイーンのWe Will Rock Youを筆頭に、(アーパツ♪、アパツ♪)が大ヒットしたBLACKPINK ロゼの新曲Messy、ドン・トリヴァーとドージャ・キャットのLose My Mind等々・・・シーンに応じて使い分けている挿入歌もとてもカッコいいです。
トップガン・マーヴェリックを手掛けたジョセフ・コシンスキー監督は、またしても高速体感できる感動作を完成させました。
とても素晴らしい作品です。