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What's New 2022年3月アーカイブ
「ガンパウダー・ミルクシェイク」
ナヴォット・パプシャド監督による「ガンパウダー・ミルクシェイク」は過去のアクション映画へのオマージュが随所に散りばめられている映画という事前情報があり、アクション映画ファンとしては見ないわけにはいかないな‼ と思い、早速見てきました。
鑑賞後の感想は一言でいうと(一言ではありませんが)
「レオン」、「ジョン・ウィック」、「ジョン・ウー監督などのアクションシーン」、「ブライアン・デ・パルマ監督やクエンティン・タランティーノ監督などのバイオレンス描写」、「マカロニ・ウェスタン」、「ポップでカラフルでユーモラス」などの要素を、ミックスしてシェイクしたハードボイルド・コミカル・アクション映画と言った感じの、とてもユニークな映画でした。
会社(ファーム)と呼ばれる組織に所属するバニラ・シェイク大好きな凄腕の暗殺者サムは、これまでに数々の依頼された後始末の仕事をこなしてきましたが、ある仕事でターゲットの娘である8歳と9か月の少女エミリーを救ったことから組織に追われることになってしまいます。
エミリーと共に逃げるサムは、敵の策略により両腕に筋弛緩剤のような薬物を打たれ、銃が撃てなくなり絶体絶命のピンチに陥ってしまいます。そんなサムを救ったのは、15年前に行方をくらまし陰でサムを見守っていた、伝説の暗殺者であるサムのママ スカーレット。
3人が逃げ込んだのはとある図書館。図書館の司書を務めるマデリン、フローレンス、アナ・メイの3人はスカーレットの旧友で元暗殺者。本の中に隠してある銃を武器に、大挙して攻め入る組織から送り込まれた刺客の男達との死闘が繰り広げられます。
虎刺繍のスカジャンを身にまとい、愛車は防弾装備の赤いポルシェ924の主役サムを演じたのは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のネビュラ役のカレン・ギラン
もはや貫禄すら感じる、アジア系女性アクション俳優の草分け的存在「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」のミシェル・ヨーなどが脇を固めます。
ダイナーに銃を持ち込んではいけない! などの独特なルールや世界観、赤・青などのネオンきらめく暗闇を背景にしたサムのアクションシーンは「ジョン・ウィック」流。このシーンではエンニオ・モリコーネのマカロニ・ウェスタンの音楽をアレンジしたような曲がバックに流れます。
敵の暗殺者の1人は「レオン」でゲイリー・オールドマンが演じた悪徳刑事スタンにそっくり。
多用されていたスローモーションの二丁拳銃による銃撃シーンは「男たちの挽歌」。
フローレンスが2階から眼下の敵にアサルトライフルで容赦なく銃撃するシーンは、「スカーフェイス」でアル・パチーノ演じるアントニオ・トニー・モンタナが豪邸の2階から1階の敵にアサルトライフルで銃弾を浴びせるシーンを彷彿とさせました。
ガトリングガンはセルジオ・コルブッチ監督のマカロニ・ウェスタン「 続・荒野の用心棒」でしょうか?
その他にも、数々のオマージュが隠されていると思われるので興味がある方は、「ガンパウダー・ミルクシェイク」を見に行き映画館で探してみてください。
「鎌倉殿の13人」と「ランチパック」
コンビニで偶然に発見し思わず購入してしまったのは、現在放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とヤマザキ製パンさんがコラボした「ランチパック・13種類の野菜とチキンのスパイスカレー」という商品。
タイトルの13人にちなんで、13種類の野菜を使用し調理したチキンカレーをパンでサンドしたランチパックです。
パッケージに鎌倉野菜とは明記されていないので鎌倉産の野菜ではないようですが、意外と辛いスパイシーなカレー味の美味しい調理パンでした。
NHKの大河ドラマと言えば数年前に出演者の一人○○○様が放送開始直前に不祥事で逮捕されてしまい、収録済みシーンは代役の女優さんにより再撮影となり、放送開始時期が予定より大幅に遅れてしまうという騒動が勃発したため、今作「鎌倉殿の13人」では脚本を手掛けた三谷幸喜さんは、キャスティングが決まる前の制作発表段階で「俺もしかしてヤバいかな、俺スネに傷を持っているかなていう人がいたら、ぜひ(オファーを)断ってください」と言い放ち、早くも三谷ワールド全開だったことを思い出します。
主演の北条義時役は小栗旬さん。
昨年のTBSのドラマ「日本沈没」でも主人公を演じていました。
ハリウッド デビュー! と話題になった映画「ゴジラVSコング」では言葉の壁が原因で予定の半分ほどに出演シーンがカットされてしまったとのことなので、この二作品で本領発揮だと思います。
大泉洋さん演じる源頼朝が寝ていると、西田敏行さん演じる後白河法皇が枕元に生霊のように現れ、挙兵を促す悪夢を見るシーンが何度か繰り返し放送されていますが、三谷幸喜さん脚本・監督の映画「ステキな金縛り」を彷彿とさせてとても笑えました。
三谷ワールド全開!! 笑いあり、涙ありのドラマ「鎌倉殿の13人」。今後の展開が楽しみです。
「THE BATMAN―ザ・バットマン―」
夜の街で犯罪者たちと戦うバットマンとして活動を開始してから2年目の若きブルース・ウェイン。
犯罪が頻発する腐敗した街ゴッサム・シティでは、街の有力者達が惨殺される猟奇的な連続殺人事件が発生。犯人は犯行現場にバットマンへの挑戦状とも取れる、暗号や謎の言葉などのリドル(なぞなぞ)を残すことからリドラー(ポール・ダノ)と名付けられます。
(バットマンフォーエヴァーに登場したジム・キャリー演じるリドラーは、テンションが高くコミカルでまるで柳沢慎吾さんのようでしたが、今作でのリドラーはそれとは真逆なかなりダークな凶悪犯でした。)
ブルース・ウェイン=バットマン(ロバート・パティンソン)はゴードン刑事(ジェフリー・ライト)と執事アルフレッド(アンディ・サーキス)の協力を得ながら、探偵のように謎を解きリドラーを追い詰めて行きますが、捜査を進めて行く過程でウェイン家にまつわるある秘密に辿り着きブルースを苦しめることに・・・・。
セリーナ・カイル=キャットウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ)との出会いや、街を牛耳るマフィアのボス カーマイン・ファルコーニ(ジョン・タトゥーロ)の右腕であるオズワルド・チェスターフィールド・コブルポット=ペンギン(コリン・ファレル)との死闘なども描かれ、約3時間という長い上映時間は飽きること無くむしろ短く感じたほどでした。
幼少期に両親が殺害されてしまうという悲しい過去を持つブルースは、犯罪者に対する抑えようのない怒りの衝動が前面に出すぎてしまい、正義というよりも復讐のためにバットマンとして行動するために、殴り倒し気絶した犯罪者をなおも殴り続けたり、バットモービルでペンギンが乗るマセラティ クワトロポルテを追うシーンでは、容赦なく体当たりする抑制のきかない激しい狂気的なカーチェイスを繰り広げてしまいます。
これまでのバットマン映画では、すでに成熟し冷静な判断ができるブルースが描かれてきましたが、今作では両親の死というトラウマを抱え、若くて経験も乏しいがゆえに、善悪との狭間でもがき苦しむブルースの苦悩が滲みでた、ヒーローとして人々に認識される以前の未熟なバットマンの姿が綴られ、ダークでフィルム・ノワール調でサスペンスフルなトーンのストーリーと世界観、暗闇での光と影を表現した映像美などの相乗効果により、完成度の高い作品に仕上げられています。
気になる登場するクルマは、ブルース・ウェインの時にはシボレー コルベット スティングレー C2、バットマンの時に乗るバットモービルはワイルド・スピードに登場しそうな、無骨な感じのアメリカン・マッスルカーでした。
監督は「猿の惑星」のマット・リーヴス。
キャットウーマン、リドラー、ペンギン、アルフレッド、ゴードンといったお馴染みのキャラクター達の特徴を的確に捉えて描写し、特にバットマンとキャットウーマンとの微妙な関係性が上手く表現されていると感じました。
バットマン過去作品の中でも特に評価されている「ダークナイト トリロジー」と呼ばれるクリストファー・ノーラン監督によるダークナイト三部作にも匹敵するほどの傑作と感じた最新作「THE BATMAN―ザ・バットマン―」。
正式発表は現在されていませんが、シリーズ化は確実だと思われます。
デートにもおすすめの映画です。
「ナイル殺人事件」
エジプト・ナイル川をクルーズする豪華客船内で、ハネムーンを楽しむ大富豪の美しき娘リネットが殺害されるという事件が発生。容疑者はリネットの結婚を祝福するために集まった乗船客全員。名探偵ポアロによる真犯人探しの謎解きが始まります。
豪華客船という「密室」、「全員が容疑者」、「名探偵登場」というお馴染みのパターンなのですが、事件に至るまでの導入部分を比較的長く描くことにより、観客に関係者全員が怪しい容疑者であるかのように見せることに成功しているのと、ポアロにより暴かれるトリックが絶妙なので、物語に引き込まれてしまう優れたミステリー作品となっていました。
更に、エキゾチックでミステリアスな雰囲気を醸すエジプトを舞台にしていることが、より一層サスペンス要素を引き立てているように感じました。
そして今作では若き日のポアロも描かれ、トレードマークである「口髭」に隠された秘密が明かされます。
2017年公開「オリエント急行殺人事件」に引き続き、監督と主役のポアロを演じたのはケネス・ブラナー。
事件の犠牲者となってしまう大富豪の娘リネットを演じたのはガル・ガドット。
事件の鍵を握る重要人物の一人ジャクリーンを演じたエマ・マッキーは、マーゴット・ロビーにとてもよく似ている女優さんでした。
「愛と嫉妬と欲望が複雑に絡み合う禁断のトライアングル・ミステリー」というこの映画のキャッチコピーには事件の動機が隠されていると共に、エジプトのピラミッドをも連想させる優れたコピーだと思います。
この映画の原作である、アガサ・クリスティー作「ナイルに死す」が発表されたのは驚くことに1937年なのだそうです。今から85年も前の小説が現在でも人気を博し映画化されるのは人間の感情が今も昔も変化していないからだと感じました。
デートにもおすすめの映画です。
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